九州産の豚肉をフレッシュなまま使用し、オリジナルの漬け込み液に浸し通常の倍の日数をかけじっくりと醸成させます。そして香り高い桜のチップで燻して芳ばしい香りを纏わせて仕上げます。そのまま食してしっとりとした肉質と旨味を味わうもよし分厚く切って味わい深い脂の甘みを堪能するのもよし。
時間と手間をかけて作りあげるため、大量には製造できません。品切れの際はご容赦ください。
-原材料の下ごしらえ-
一般的なハムは冷凍した豚肉を解凍して作られますが、森谷の城山ロースハムはできるだけ筋肉線維や細胞を傷つけないようフレッシュ(冷蔵)のまま加工されます。
現在、城山ロースハムは大手百貨店でも取り扱いがありますが、フレッシュ(冷蔵)の原料を使用しているのは森谷オリジナルの城山ロースハムだけです。
九州で大切に育てられた国産豚肉のロースを丁寧にすじや小骨を取り除き、通常そこまで除去しないと言われる筋膜まできれいに取り除きます。肉の中にある血管もピンセットで引き出し取り除く細かな仕事にも手を抜きません。そして城山ロースハムのおいしさの特徴である脂質を適度に残しながら形を整えていきます。その後に配合塩をすり込み筋肉中の深くに残った毛細血管の残血を除去します。冷凍原料であれば解凍持に流れでますが、フレッシュ(冷蔵)ではこのひと手間が必要となります。
肉の風味、色、保存性が向上する重要な工程ですので、商品の品質に非常に深くかかわってきます。
ピックル液(調味液)をタンブリング(機械で回転させながら漬け込む方法)させれば1~2日で味が浸透しますが、城山ロースハムではここでも肉の線維を傷つけることがないよう
ある程度のピックル液を注射後、液の中に漬け込んで4~5日かけてじっくりと味を浸透させ旨味を引き出すように寝かせます。
ここで時間をたっぷりと取りハム独特の風味が生まれるまでじっくりと待ちます。
城山ハムは必要最低限の添加物しか使用しません
素材のもつ旨味を引き出すには余計なものを加えないことです。城山ロースハムの原材料は、豚肉・塩・砂糖・発色剤だけです。
発色剤は賛否ありますが、ボツリヌス菌という食中毒菌を抑制する作用があり、またハム独特の風味を加えるために必要であると考えています。
熟成が終わった豚肉の余分な肉や脂を取り除き成型していきます。
城山ハムは原材料に対して出来上がる製品数が少ない、いわゆる歩留まりが悪いハムです。
なぜ?
それは歯ざわりのため。
それは食べた時の肉と脂のバランスのため。
それは美しさのため。
それは大きさを整えるため。
全てはおいしいハム造りのために。
惜しむ気持ちを断ち切りながら職人は刃を滑らせていきます。
城山ハムはきれいな円筒形ではありません。
この充填という作業は、火を入れる前に行う整形の工程で、一般のハムは強い圧力をかけてきれいな円筒形にします。
しかし、城山ハムは肉質、食感を大切に考えると強い圧力は避けたい。ですからきれいな円筒形にならずとも身崩れを起こさない程度の圧力で充填します。
ファイブラスという麻とセルロースで作られた和紙の
ような円筒形の紙にハムを充填し、その後両端をねじり留め金をかけます。
このねじりは人の手で行うため、経験で培った感触で
強すぎず、弱すぎず1本1本ねじり上げます。
-乾燥・燻煙・湯煮-
一定の温度で乾燥させた後、燻煙にかけます。
城山ハムは吊り下げたハムの下で香りのよい山桜のチップで燻します。
ブナやナラなど他にも色々なチップがありますが、山桜のやわらかな香りが城山ハムには
よく合います。
チップの煙をスモークハウスに送り全体にまんべんなくハムを包みこみます。城山ハムは
肉の旨味を引き立てるため控え目に燻しすようにしています。
燻煙は香りづけだけが目的ではなく、本来は保存性を高めるためのものです。
燻煙の殺菌性や酸化防止で保存効果を得ることができる先人の知恵を生かした素晴らしい
製法といえます。
燻煙後、城山ロースハムをボイルします(湯煮)。
通常のハムは蒸す(蒸煮)方法が多いのですが、城山ロースハムでは昔ながらの湯煮で仕上げています。
-特製木箱とシリアルナンバー-
ボイルされたハムは一晩冷却され、包んでいたセロファンと布を取り除きます。
真空パックにした後に化粧用の布でくるみ紐がけをして、
最後に1本ずつ製造番号のついた木札をつけて出荷を待ちます。
「本当においしいハムをお届けしたい」という思いからこれだけの製造工程を経て生まれた城山ハム。
商品への自信と誇りがこのシリアルナンバーつきの木札なのです。
できあがった本造り城山ロースハムは特製の木箱に入れてお届けします。
素材と製造にこだわったハムだからそれに見合った包装を施したい。
そんな思いから白い木肌が上品で美しい木箱を選びました。
城山ハムは大手デパートでも取り扱いがございますが、
フレッシュ(生)の原材料を使用した、木箱入りは森谷オリジナルの城山ハムだけです。
ぜひ火を通さずそのままで味わってみてください。本造り城山ロースハムを手切りでスライスしてみてください。まるでお肉を切っているかのようなずっしりとした重量感が包丁へ伝わることでしょう。淡い桃色の断面には肉の線維が現れ、触るとしっとりと手に吸い付くような瑞々しさを感じます。口に入れると確かな肉の存在感と燻煙の芳ばしい香りが広がり、上品でまろやかな塩味のハムの風味はそれだけで贅沢な一品となります。
大胆に分厚くカットして焼いてください。そのまま食べた時の味わいとは違い、熱を加えることで味わい深い脂質の甘みが口中に広がり、肉の旨味と相まってジューシーで濃厚なおいしさを味わえます。
燻された香りにさらに焼けた肉の芳ばしさが加わり強烈に食欲をそそられ、そして満たされることでしょう。