神戸牛とは、数あるブランド牛の中でも世界で最も知名度の高い牛肉ですが、有名なのに知ってるようで意外と知られていないお話があります。
ここではそんな神戸牛の魅力やマメ知識をご紹介します。
これを読めばあなたも神戸牛の達人になれますよ。
神戸牛(神戸肉・神戸ビーフ)とは?
神戸牛の定義や魅力について解説とマメ知識
神戸牛の正式名称は「神戸肉(こうべにく)」「神戸ビーフ」
神戸牛は「神戸牛」以外に「神戸肉」「神戸ビーフ」とも呼ばれます。 なぜ3つも呼び方があるのでしょうか。
実は、数年前までは皆さんが神戸牛と呼んでいた牛肉は正式には「神戸肉(こうべにく)」もしくは「神戸ビーフ」という名称でした。
つまり数年前までは「神戸牛(こうべぎゅう)」は神戸牛ではなかったのです。ちなみに「こうべうし」とは呼びません。
「神戸牛」の呼び名が認知された理由
なぜ「神戸肉」や「神戸ビーフ」より「神戸牛」という呼び方が広く認知されてしまったのでしょうか。ちょっと思い浮かべてみてください。
いろんなブランド牛肉がありますが「松阪牛」「近江牛」「米沢牛」「三田牛」「前沢牛」「宮崎牛」・・・最後に「牛」とつくものが圧倒的に多くないですか。
そう、それです!だから「神戸肉」も「神戸牛」と思いこまれてしまい、メディアに紹介される時にも「神戸牛」と紹介され、「神戸肉」より「神戸牛」という名前のほうが有名になってしまったのです。
そこで、あまりにも「神戸牛」が有名になってしまったため、誤解を生んではいけないと「神戸牛」も正式名称にしようということになり2007年に正式に登録されたのです。では、なぜ「神戸牛」はでなく「神戸肉」や「神戸ビーフ」だったのでしょうか。
・・・・それは、関西の食文化が関係していました。
神戸牛以外の有名な代表ブランド牛肉「松阪牛」「近江牛」「前沢牛」はどちらも牛肉になる生体(つまり生きた牛)の時から「松阪牛」「近江牛」と呼ばれています。他のブランド牛も同様に生体は同じブランド名です。しかし、神戸牛は違います。神戸牛の生体は「但馬牛(但馬ビーフ)」と呼ばれているのです。
ということは、そう、神戸牛という生きた牛はいないのです!
なぜ生きた神戸牛がいないのかというと、それは神戸牛の認定段階に理由があります。そしてそれこそが神戸牛が高品質である所以なのです。
まず、但馬牛をと畜して枝肉にします。その後に市場でセリに出されるのですが、その前に肉質等級を決める審査があります。A4やA5なんていう言葉を聞かれると思いますが、この段階で決められるのです。神戸牛になるには厳しい審査基準があり、但馬牛の中でもその基準を満たした牛肉だけが「神戸牛」に認定されるのです。
そう、すべての但馬牛が「神戸牛」になるわけではありません。 審査基準は厳しく、肉質、脂質ともに優秀なものだけが神戸牛になるのですから、品質が良いのは当たり前なのです。つまり、生きた神戸牛がいないのと同様に、肉質が悪い神戸牛もありません。神戸牛を安定した高い品質でご提供できるのは、この認定する段階がポイントだったのです。
神戸牛(但馬牛)は生まれてから枝肉になるまで兵庫県から出ません。(神戸牛の定義)
ですから、飼育されているのも兵庫県内になります。
マメ知識!あなたも肉通へ
飼育と一言でいいますが、実は牧場は「生産牧場」と「肥育牧場」と2つに分かれています。生産牧場では、仔牛を産ませてだいたい8か月まで育てます。
そしてセリにかけられて、その仔牛を買い取り肉牛の大きさになるまで約20ヶ月前後育てるのが肥育牧場なのです。森谷商店ではこの「生産牧場」と「肥育牧場」をともに所有しており、牛の生産から小売まで一貫生産体制を肉屋では日本で初めて整えました。よりよい但馬牛を育てられるよう牛の肥育方法や餌など独自でも研究しています。
神戸牛の定義は日本一厳しいと言われます。ここではその定義をご紹介します。
まず、神戸牛は肉質の格付けが行われる前までは但馬牛ですので、但馬牛の定義と神戸牛の定義の2つの定義に基づくことになります。
【第20条】
「兵庫県産但馬牛(たじまぎゅう)」とは、本県の 県有種雄牛のみを歴代に亘交配した但馬牛(たじまうし)を素牛とし、繁殖から肉牛として出荷するまで当協議会の登録会員(生産者)が本県内で飼養管理し、 本県内の食肉センターに出荷した生後28ヵ月令以上から60ヵ月令以下の雌牛・去勢牛で、歩留・肉質等級が「A」「B」2等級以上とし、瑕疵等枝肉の状態によっては委嘱会員(荷受会社等)の確認により判定を行う。 尚、兵庫県産但馬牛(たじまぎゅう)を但馬牛(たじまぎゅう) 、但馬ビーフ、TAJIMA BEEFと呼ぶことができる。
【第21条】
「神戸肉・神戸ビーフ」とは、第20条で定義する「兵庫県産但馬牛」のうち、未経産牛・去勢牛であり、枝肉格付等が次の事項に該当するものとする。 尚、神戸肉・神戸ビーフをKOBE BEEF、神戸牛(ぎゅう) 、神戸牛(うし) と呼ぶことができる。
〈1〉歩留・肉質等級
・「A」「B」4等級以上を対象にする。
〈2〉脂肪交雑
・脂肪交雑のBMS値No.6以上とする。
〈3〉枝肉重量
・雌は、230kg以上から470kg以下とする。
・去勢は、260kg以上から470kg以下とする。
〈4〉その他
・枝肉に瑕疵の表示がある場合は、本会が委嘱した畜産荷受会社等(委嘱会員)がこれを確認し、「神戸肉・神戸ビーフ」の判定をする。
牛肉の格付は、歩留等級と肉質等級で決まります。
つまり、神戸牛の定義は但馬牛の定義に肉質の規定が追加されたものということです。
但馬牛の種牛となる雄牛は但馬牛の雄ならどれでもいいというわけでありません。種牛に選ばれるにはたいへん厳しい審査があり選ばれた雄牛は但馬牛オブ但馬牛といってもいいでしょう。
神戸牛・但馬牛は兵庫県の大切な資源ですから血統を絶やさないように雄牛は兵庫県が管理しています。よし、但馬牛を育てるぞ!と思い立ってもそう簡単にはできず、まずは但馬牛を育てるには神戸肉流通推進協議会の会員にならなくてはいけません。 神戸牛・但馬牛はどこの牧場で、どの獣医が種付けして育てられ、どこの牧場に移動して飼育され、どこのと畜場でと畜されたのか、どこの市場でセリにかけられ、誰が購入したのか、場所も人も全て管理記録されます。 ですから手軽に、但馬牛を育てよう、神戸牛を売ろうということはできないのです。 厳しいですが、これらは全て但馬牛の血統と肉質を守るために重要な定義なのです。
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A4やA5などよく耳にする肉の格付けについては皆さんよくご存じでしょうが、重量制限があることはほとんど知られていません。
もともと日本の牛は昔は肉牛ではなく使役牛でした。但馬地方は急な山が多く、細い山道を通ることが多いためか但馬牛は小柄な牛ばかりでした。
ならばできるだけ大きく育てた方がたくさんお肉がとれていいのではないかと思いませんか?
しかしそう単純にはいかないのです。重量と肉質には密接な関係があります。体格が大きいほど一つ一つの肉の筋細胞が大きいということであり、いわゆる肉のキメが粗いということになります。そうなると舌触りが悪くなり、また筋肉繊維が太いということは噛み切りにくくなるということにもなります。つまり肉の柔らかさや舌触りに影響があるということです。ですから重量制限を設けて大きくなりすぎないようしているのです。 神戸牛は大きく育てることができないので、1頭から取れる肉の量も少ない。これも流通量が少ない理由の一つですね。
神戸牛のふるさと但馬地方では、牛は酪農で育てられたわけではなく農作物を育てる使役用として飼われていました。
この地方では牛を大切に飼育することが農業に熱心である証拠とされていましたので、良い牛には殿様からご褒美をいただくほど大事に飼われていました。ですから肉牛を育てる酪農家がでてくる前から、丹精こめた飼育には長い歴史があり、家族同様に愛情をかけた飼育、工夫されたエサ、気候風土や水などの環境も備わった但馬地方は、最も美味しい牛肉を作る条件にかなっていたといえます。
日本には数多くのブランド牛が存在します。その牛と神戸牛とはいったいどこが違うのでしょうか。
ここでは日本の三大和牛と言われるうちの有名な松阪牛、近江牛、米沢牛との違いを見てみましょう。
まず、高級ブランド牛の代名詞である「松阪牛」。
松阪牛とは定義は、素牛(もとうし)は黒毛和種、未経産の雌牛であり、その牛は松阪牛個体識別管理システムに登録されていなければなりません。
また、松阪牛生産区域での肥育期間が最長・最終であり、生後12ヶ月齢までに松阪牛生産区域に引き取られ、導入後は生産区域内でしか移動できないという4点です。
神戸牛との違いは、まず素牛です。神戸牛は100%但馬牛ですが、松阪牛は産地が指定されていない黒毛和種です。ただ、神戸牛は雄の去勢牛も含めますが、 松阪牛は雌のみとなります。一般的にメス牛のほうが肉のキメが細かいとされていますので、ここは頭数確保のため、血統を第一とするか、 肉のキメの細かさを優先させるかどちらを選ぶかの違いですが、どちらも肉質には重要な要素ではありますね。
次に大きな違いは格付けです。神戸牛は肉質等級が4等級か5等級と限定されています。しかし松阪牛には格付けについての定義はありません。(特選松阪牛を除く)
また肥育期間や体重も神戸牛は厳しい基準があります。神戸牛は雌であれば230kg以上から470kg以下、去勢は、260kg以上から470kg以下となっているのに比べ、 松阪牛には基準がありません。肥育期間についても、神戸牛は生後28ヶ月~60ヶ月以内となっていますが、松阪牛は特に規定はありません。
あれ?おかしいな。松阪牛って霜降り肉の代表みたいな牛肉なのに、肉質等級に規定はないの?と不思議に思われる方もいらっしゃるでしょう。
実は、松阪牛は平成16年に規定が変わっています。皆さんがよくイメージされる松阪牛は現在では「特選松阪牛」と呼ばれ、松阪牛の中でも4%~6%しか認定されない牛肉です。「特選松阪牛」は、素牛は兵庫県内の黒毛和種で、肉質等級が5等級か4等級、肥育期間は生後38ヶ月以上という規定が追加されます。
つまり、松阪牛は指定された区域で育てられた黒毛和種の雌だということですが、この基準では神戸牛と比べものにはなりませんので、神戸牛と比較されるのは「特選松阪牛」ということになります。
近江牛も仔牛の産地指定、肥育期間、肉質等級にも規定はなく、単に「滋賀県内で最も長く飼育された黒毛和種」という肥育地域の指定のみです。
ただし、松阪牛と同じように近江牛の中でも、枝肉格付がA4、B4等級以上で、協議会の構成団体の会員が生産した牛であり、なおかつ滋賀食肉センターまたは東京都立芝浦と畜場でと畜・枝肉格付されたものを「認証近江牛」と呼びます。
これまた「近江牛」と「神戸牛」の比較ではなく「認証近江牛」と「神戸牛」を比較しなければなりません。
米沢牛の定義は、
1. 山形県置賜地方3市5町(米沢市、南陽市、長井市、高畠町、川西町、飯豊町、白鷹町、小国町)に居住し、米沢牛銘柄推進協議会が認定した飼育者が、登録された牛舎での飼育期間が最も長いものとする。
2. 肉牛の種類は、黒毛和種の未経産雌牛とする。
3. 米沢牛枝肉市場若しくは東京食肉中央卸売市場に上場されたもの又は米沢市食肉センターでと畜され、公益社団法人日本食肉格付協会の格付けを受けた枝肉とする。 但し、米沢牛銘柄推進協議会長が認めた共進会、共励会又は研究会に地区を代表して出品したものも同等の扱いとする。また、輸出用は米沢牛銘柄推進協議会が認めたと畜場とする。
4. 生後32か月以上のもので社団法人日本格付協会で定める3等級以上の外観並びに肉質及び脂質が優れている枝肉とする。
5. 山形県の放射性物質全頭検査において放射性物質が「不検出」※であるものとする。
以上の5点です。米沢牛にはこれ以上の定義はありませんのでこのまま神戸牛との比較になります。
参考 米沢牛銘柄推進協議会 http://www.yonezawagyu.jp/
他にも飛騨牛、佐賀牛、宮崎牛、石垣牛、豊後牛、山形牛などいろいろありますが、ブランド牛の最低条件は素牛の品種と最長肥育地が規定されていること。
それにプラス仔牛の生産地、登録制の有無、肉質等級、肥育期間、重量規制などの条件が追加されています。神戸牛はそのすべての項目に規定がありますので、非常に厳しい認定基準といえます。
GIとはGeographical Indicationを略したもので、「地理的表示保護制度」のことです。
農林水産省が地域に長年培われた伝統的な生産方法や気候・風土・土壌などの生産地の特性が、品質などの特性に結びついている産品について、その名称を知的財産として保護する制度が2016年6月に開始されました。
そして2017年7月。神戸牛は日本で初めてのGI登録商品の1つになり、農林水産大臣登録番号3号を取得しました。ちなみに同時に「但馬牛・但馬ビーフ」も第2号を取得しています。
登録されると専用のGIマークを付けて販売することが義務づけられ、類似商品や模倣品と区別することができます。
実は、このような地理的表示保護制度は日本だけではなく、世界貿易機関(WTO)の知的所有権の貿易関連の側面に関する協定でTRIPS協定、1995年発効)第22条1でも、「地理的表示」が定義されており、同様の制度を定めている国が他にもあります。
例えば、フランスのノルマンディー産カマンベールチーズやイタリアのパルマ産生ハムなどがそうです。なんだか難しい話のようですが、簡単にいうと
日本政府が日本の地域独自の農産物の品質を保証したら信用度がアップし、海外へアピールできるうえ、生産者をニセ物から護ることができる、ということです。
国内だけでなく、政府が胸を張って世界に紹介する日本の商品を認定し保護する制度ですね。
しかし、この認定を受けるにはなかなか厳しい基準をパスしなければなりません。
まず、「地理的表示保護制度」という名前の通り地域に関連ついていることが大前提です。
だからといっていくら人気があってもここ数年で有名になったというようなものは登録されません。
だいたい25年以上、その土地に根差した農林水産物やそれを原料にしたもの。あるいはそ の地域での風土や伝統や文化によって生まれた製法や技術によって生産されるものであり、
そしてそれらが社会的評価を得ているものにしか認定されません。
つまり、地域、年数、社会的評価が結びついた農林水産物が登録されるということですね。
1.兵庫県内でしか生産されない牛
神戸牛は生まれからと畜されるまで兵庫県内で行われます。また神戸牛の素牛(もとうし)は但馬牛です。数あるブランド牛の中で、素牛が100%但馬牛なのは神戸牛と但馬牛だけです。
その但馬牛は閉鎖育種で兵庫県内しか肥育されておらず、長年の知恵や技術によって血統と保っています。
2.神戸肉流通推進協議会の存在
神戸肉流通推進協議会では神戸ビーフの定義を定め、「神戸肉之証」を発行しています。
また協議会は生産者・卸業者、小売店、飲食店が加盟しており、加盟していない牧場では神戸牛の素牛である但馬牛を繁殖、肥育することはできません。同様に加盟店以外の卸、小売店、飲食店には神戸牛の証明書となる「神戸肉之証」は発行されないのです。
3.そして上記2つの取り組みを継続して行ってきているということです。
日本にはいくつものブランド牛があり、血統や生産方法や肉質だけで差異を説明することが難しいため、個々の関連性や継続してきた取り組みを評価されたということです。
この制度の大きな特徴の1つが生産者の保護です。
人気の高いブランド商品ができると追随して似たようなものが出てきます。あげくには名前だけ似ていて中身は全く違う原料からできているものもあります。
神戸肉流通推進協議会が「神戸牛」という名前の商標登録を取っているように地域団体商標を取っている団体もありますが、現実的には個人や団体で争うには費用がかかり限界があります。
そこで、地理的表示の不正使用に対して懲役や罰金などの罰則が定められ、政府が違反者に対して訴訟を行うことになりました。
これにより、商品の価値と生産者を保護することができるようなったのです。
明治に「神戸ビーフ」と呼ばれるようになり、神戸牛・神戸肉などその名前は知られるようになりましたが、実は神戸牛の明確な基準がなかったので(業界の中ではありましたが、明確化というものではありませんでした。)、高度成長期に神戸牛・神戸肉の需要が増えてくると「但馬牛ではない神戸ビーフ」や「肉質の劣る神戸肉」が出回り、いったい神戸肉・神戸牛の定義とはどうなっているのかという批判の声が大きくなってきました。
そこで、これでは神戸ビーフ全体の信用を落とすことになってしまうということで神戸ビーフの定義を明確にし、ブランド化すべきだとの意見が強まりました。
そして1983年。兵庫県畜産課が各団体に呼びかけ生産・流通・消費の関係団体が合わさり「神戸肉流通推進協議会」が創設されました。
この協議会により、やっと「神戸ビーフ」というブランドが正式に誕生し、肉質を含めた厳しい定義が明確化されたのです。
この協議会の最大の特徴は、生産者団体、流通業界だけでなく消費者団体からも理事が選出され三者で構成されていることです。神戸牛の生産者である畜産農家と、流通・小売の販売店、レストランがそれぞれ指定登録制とし、と畜解体の施設までも指定することにより消費者からの信頼を得ることに尽力してきました。
つまり、明日から但馬牛を育てよう、神戸牛の料理をメニューに加えよう。なんて気軽に神戸牛や但馬牛を扱えるものではないということですね。また、消費者にこの店で買えば、この店で食べれば安心と一目でわかるようにブロンズ製のモニュメントを置くことが義務づけられています。このモニュメントを目印にお店選びをしてくださいね。
マメ知識!あなたも肉通へ
海外への輸出においても輸出先の販売企業は例外なく神戸肉流通推進協議会に登録されているのですよ。
・積極的な神戸ビーフ(神戸肉、神戸牛)の広報
・販売促進資材の作成
・会員への情報提供
・神戸肉の品質アップと増産体制の指導
などが上げられ、これらの活動が実を結び今や日本国内だけでなく、海外への輸出も行われるようになりました。
マメ知識!あなたも肉通へ
初めての輸出国はマカオでした。なんと!バレンタイン用の商品としデパートから要望があったのです。
それからどんどん海外からの需要が増えておりますが、但馬牛の生産が追いつかない状況になると新たな輸出国先はいったん受付停止となることもあります。
神戸牛・神戸肉・神戸ビーフ及び但馬牛・但馬ビーフは「地域団体商標」を取っており、その権利は神戸肉流通推進協議会が持っています。
その名称やロゴを使用するには協議会の指定店に登録されなければなりません。
指定店以外の店が神戸牛とつけた商品やメニューを販売する際はご注意ください。
※「但馬牛」「但馬ビーフ」も同協議会が登録商標を取っています。
実は登録商標を取るまでは「神戸牛」という名前は「神戸肉」「神戸ビーフ」とは全く別物でした。有名なブランド肉の「松阪牛」「近江牛」「米沢牛」などは全て「牛」とつきますので、神戸肉も「神戸牛」と思われて本家の「神戸肉」より有名になっていきました。
そのことを知っている悪質な業者はこの抜け道を使い、まったく別の肉を「神戸牛」と称して安く販売していたことがありました。もちろんこれは違法ではなかったので、正式に神戸肉を販売する我々のような店はずいぶんと歯がゆい思いをしたものです。
そこで今後はそういったことができないように登録商標を取る際に「神戸牛」という名称も「神戸肉・神戸ビーフ」と同義語として申請したのです。
マメ知識!あなたも肉通へ
神戸の老舗の肉屋は屋号に「純神戸肉」や当店のように「本神戸肉」とついているお店があります。なぜかというと偽物が横行していた時代があったので「純」「や「本」など本当の神戸牛であると示すためにつけたのです。
肉の旨さの最も重要な要素は素牛の資質です。神戸ビーフの素牛となる但馬牛は、仔牛が生まれると1頭ごとに血統を表した家系図が記載された登記書(戸籍謄本みたいなもの)が作られるほど、厳重に血統を管理しています。
そして数多くの但馬牛の中でも、厳しい肉質の基準をクリアしたものだけが「神戸牛・神戸肉・神戸ビーフ」いう称号を得られるのです。その肉質は、赤身の中に脂肪がきめ細かく入り、鮮やかで美しい「サシ」(いわゆる「霜降り」と呼ばれる)となります。熱を加えると「サシ」が溶けてその回りの赤身をときほぐし、柔らかく舌触りをよくします。神戸ビーフの「サシ」の融点は人肌で溶けだすほど低いため、くどさがなくその特有の芳醇な香りが口の中いっぱいに広がり、味にまろやかさとコクを生み出すのです。
肉の旨さの最も重要な要素は素牛の資質です。
神戸ビーフの素牛となる但馬牛は、仔牛が生まれると1頭ごとに血統を表した家系図が記載された登記書(戸籍謄本みたいなもの)が作られるほど、厳重に血統を管理しています。
但馬牛は但馬牛とのみ掛け合わせなければなりません。このようにかたくなに他県の牛との交配をせずに但馬牛だけで交配してきたからこそ現在までそのおいしさを守り続けることができたのです。これを閉鎖育種といいます。
神戸牛の雄牛はエリート中のエリート。その血統を守るために兵庫県が雄牛の管理をしています。
「肉が甘い!」美味しい牛肉を食べるとそう評されることが多々あります。
その甘みを担うのは「脂質」です。その脂の質は血統によって決まります。神戸牛はA4とA5等級しかおりませんので、当然サシが多くたいへん美しい霜降り模様で麗しい牛肉です。
サシは熱が加わると溶け出しそのまわりの筋肉を解きほぐすことで柔らかくなりジューシーで舌触りを良くします。
色はまっしろではなく少し黄みがかったクリーム色をしていて、触ってみるとキメが細かくねっとりとしています。そして触ったそばからすぐに溶けだしていきます。この融点の低さが口に入れるとすぐに溶け出しと甘味を広げ肉を柔らかくします。そして飲み込んだ後も舌の上に脂のくどさが残らず肉のうま味の余韻だけが残ります。
バラ肉の脂質は力強く、サーロインの脂質は上品な甘みがあり、さすがサー(伯爵)の名称を持つだけあると感じます。それぞれも部位によって脂質の味も異なるので食べ比べるのも面白いですよ。
神戸牛のサシが多いのは血統によるものです。
神戸牛の素牛の但馬牛は他県の牛とは交配しない閉鎖育種でこの純潔を守ってきていることが神戸牛のおいしさを産む秘訣なのです。
もちろん肥育農家さんのきめ細かな愛情やエサの配合、技術も影響しています。
余談ですが、おいしさには必要なこの融点の低さが撮影する時には実は困りもので、ライトをあてたり、盛りつけている間に溶けだして肉がだらけてしまうのです。だから盛り付ける時には手を冷やし、なるべく早く撮影するようにしなければならないので霜降りの多いロースやカルビは気を遣いますよ。
マメ知識!赤身にはいるサシは「コザシ」
通常赤身にはサシが入りにくいものですが、神戸牛の赤身のヒレや一部のモモ肉にはサシが入っています。まるで0.3mmのペンで描いたようにたいへん細く繊細でその霜降模様は「コザシ」と呼ばれます。
神戸牛の脂質は融点の低さが特徴ですが、それだけでありません。その質も非常に高く、不飽和脂肪酸はなんとオリーブオイルに匹敵するほどの含有量なのです。
ですから健康でいたい。でも牛肉も食べたい!という方には神戸牛をおすすめします。
脂質は甘みとジューシーを担当しますが、肉のうま味は赤身が担います。
カレーやシチューのようにじっくり煮込む料理は旨味がスープに溶けだすのはもちろんですが、神戸牛は肉にもしっかりとうま味ありますのでスープやルーの濃い味のあとには肉の味が舌に残ります。これは何も肉だけに限らず、スジ肉にしても非常に味が濃く神戸牛はどこを食べても高い品質でおいしく召し上がれます。
神戸牛は高級肉ですが、全てが高価なわけではありません。森谷商店では、1頭買い付けをしますので、ヒレやサーロインという高級部位だけでなく、スジやスネ肉、バラ肉などもあり日常のお料理に使っていただける商品も揃えております
すき焼き、しゃぶしゃぶ、焼肉、ステーキ。
いろんな牛肉料理がありますが、一番なじみがあるのはすき焼きと焼肉でしょうか。
当店でも一番売れる商品はロースすき焼きです。
見た目にも美しい霜降りで柔らかそうな薄切り肉はなんとも上品で一枚一枚大切に食べたい気持ちなります。
ただ、とあるアンケート結果で「もらって嬉しい牛肉ギフト」で一番人気なのは「ステーキ」だそうです。
みなさん、家ですき焼きと焼肉とステーキ、どの料理が食卓にのぼる頻度が高いですか?
おそらくだいたいの方はすき焼きか焼肉だと思います。
なぜなのでしょうか。
それは、おそらく一般的にはステーキよりすき焼き肉や焼肉のほうが色んな種類が多く、お値段も手を出しやすいからだと思います。もちろん、どちらもごちそう感がありますが、ステーキのほうがもっと「ごちそう」というイメージがありますよね。特にサーロインやヒレなど、高級部位のステーキは一種の憧れの食べ物なのではないでしょうか。
ヒレの中でも有名なシャトーブリアン。ヒレの真ん中の部分だけを食べるなんて、なんて贅沢なのでしょう。肉塊を頬張り噛みしめる。この噛みしめることがよりお肉を食べているという実感に結びつき、そして口の中でジュワ~と滲み出る肉汁。幸せのクライマックスですよね。
ステーキ料理はご家庭ででる機会がなければ、ステーキハウスや鉄板焼きのお店に行って食べるしかありませんが、敷居もお値段も高いのでなかなか行くことはできません。
だから、贈答でもらうなら普段食べられないごちそうの「ステーキ」が人気なのです。
欲しいけれど自分で買うには躊躇してしまう。そういう物を贈ると喜ばれますよね。